ブログ 2015年12月アーカイブ

平成27年度 第4回関東高等学校ボクシング選抜大会結果報告

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12月20日(日)?23日(水)の4日間に渡って、第4回関東高等学校ボクシング選抜大会が行われ、本校ボクシング部から高校一年生の倉地澄人がライト級の県代表として出場しました。


12/20(土)

ライト級B 1回戦
倉地澄人(高一)VS 湯崎野夏海選手(群馬県 高崎工業高校) 2対1の判定負け

湯崎野選手は接近戦を得意とするファイタータイプ。倉地としては得意とするストレートパンチの間合いで戦いたかったが、倉地の右ストレートをかいくぐり、湯崎野選手は距離をつめてくる。その入り際にお互いパンチの応酬はあるのだが、すぐに両者有効なパンチが出せない間合いまでくっついてしまう。そんな展開を繰り返しなかなか打開できなかった。2ラウンド目の前半、自分の距離でうまくやれていた時間帯があったので、あの形で終始試合を展開できればよかったのだが、さすがにそうはさせてもらえなかった。ただ、以前と違ってだいぶ落ち着いて相手を見て試合をできるようになってきている。これからが楽しみです。


今回は残念ながら1回戦で敗北しましたが県外での試合を体験でき、よい経験となったと思います。
これからも練習に精進して参りたいと思います。よろしくお願いいたします。
また、お世話になった皆様ありがとうございました。
(文責 顧問)

投稿日時: 2015年12月26日 14:06 | カテゴリ: 生徒会・部活動 |

柔道部、冬合宿報告

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 2015年12月20日から22日にかけて、柔道部は静岡県の南伊豆町で合宿をおこないました。1日目の午前中、熱海や伊東を横目にみながら、特急「踊り子」号で伊豆急下田駅に到着。そこからバスで、下流(したる)にある民宿「川久」へとむかいます。
 昼食後、まず挑んだのは弓ヶ浜。弓のように弧をえがく形状の砂浜です。とはいえ、ここで柔道や寒中水泳をするわけではありません。ひたすら走ります。砂浜に足が埋まるためにバランスがくずれ、非常に走りづらいのですが、柔道をするために、そしてあらゆる運動をするために必要な体幹を効率よく鍛えることができます。このようなトレーニング後、生徒が一番楽しみにしている夕食の時間がやってきます。刺身の盛り合わせや各種フライなど、ボリューム満点の食事で、みなご飯をおかわりしていました。

Shokuji


 それから、夜は勉強会をひらいたり、親睦を深めてすごしました。今回の合宿に参加した柔道部員は28名でしたが、大規模すぎないからこそ、中1から高二まで学年を超えた交流がもちやすいのだと思います。
 2日目、朝食前に散歩し、漁業に携わるみなさんの仕事風景を見学させていただきました。網漁においてどのように魚や伊勢エビが網にかかるか、といったことを学べました。2日目の午前中は、民宿から5kmほどのところにある石廊崎(伊豆半島最南端)まで走り、参道でトレーニングをしつつ、絶景をみて帰ってきました(生徒のみなさんは、ぜひ地図帳をひらいて石廊崎の場所を確認してください)。
 2日目午後と3日目午前は、山の中を走るクロスカントリーでした。本校でも、体育の授業や運動部の活動でいわゆる「クロカン」を走ることがありますが、こちらは本格的なクロスカントリーです。というのは、あまり整備されていない道を、木の枝や葉を踏みしめながら、あるいは苔で滑らないように気をつけながら走る必要があるからです。途中にある急斜面は、浅野のクロカンで立ちはだかる坂よりもずっと急で、心が折れそうになるのですが、生徒たちはねばり強く走っていました。顧問も一緒に走っていてそう感じますが、周りがみんな頑張っているから自分も頑張るしかない、最後までやり切ろうといった気持ちになるのでしょう(受験勉強を彷彿とさせます)。
 以上、3日間の合宿において、距離だけでいっても生徒たちはフルマラソンをゆうに超える距離を走りました。また、怪我等で走れない生徒も声を出したり、サポートをしてくれたりと、柔道部一丸となって取り組むことができました。
(文責:柔道部顧問)

投稿日時: 2015年12月23日 11:11 | カテゴリ: 生徒会・部活動 |

オックスフォード大学での海外研修がはじまります

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 本校の海外研修として、来年度はイギリスのオックスフォード大学でのリベラルアーツ・プログラムが加わります。

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 この研修は、オックスフォード大学のカレッジにて行われるプログラムで、8月の2週間を予定しています。研修内容は語学だけでなく、芸術・文学などの伝統的な英国文化、多彩な国籍の留学生や移民によって形成されるマルチカルチャーなどを、ディベートやディスカッションを通じて理解を深めていくものです。もちろん、日々のワークショップにはオックスフォード大学の学生がサポーターとして参加してくれますし、滞在はホームステイですから、みっちり英語を使って毎日を過ごすこととなります。

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 オックスフォードは中世以来、40を超えるカレッジが建てられてきた大学都市です。『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルや、歴代首相を何人も輩出した名門大学ですが、最近は映画『ハリー・ポッター』のロケ地としても人気を集めています。

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 アカデミックでありながら、ファンタジーの世界にも誘ってくれる、とても魅力的な町での研修は、米国のスタンフォード大学とはまったく異なる体験を味わうことができるのではないかと思われます。
 なお、プログラムや旅程の詳細は、来月予定している募集説明会でご案内します。

文責: グローバル化推進委員会

投稿日時: 2015年12月22日 14:24 | カテゴリ: 学校からのお知らせ |

高校アメフト部、慶応高校と引き分ける

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12月19日、私立横浜高校を会場に、関東高等学校アメリカンフットボール連盟主催の神奈川県新人大会Aブロック代表の本校と慶応高校で対戦が行われ、6対6で引き分けました。相手校が百人を超えようという部員数に対して、こちらは15人足らずの人数で、圧倒的に不利な状況の中、第1Qで先取点を取った本校が終始優勢の試合を進めましたが、最後の第4Qで相手のタッチダウンを許し、引き分けに終わりました。春の大会につながる重要な試合だったと思います。 当日は、寒い中たくさんの方に応援に来ていただきました。御礼申し上げます。 文責[顧問]

投稿日時: 2015年12月21日 11:38 | |

演劇ワークショップに行ってきました☆

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京浜東北線が蒲田駅を過ぎると、線路添いに立派な校舎群が見えてきます。
日本工学院専門学校と東京工科大学の校舎です。
演劇部・劇団こぎとは12/20(日)、ここで行われた
神奈川県私立中・高等学校演劇連盟の冬のワークショップ(講習会)
参加してきました。

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先生は、舞台やテレビ、映画で活躍されるプロの俳優さん。
浅野・東海大相模・日本女子・桐蔭・法政第二・山手学院・公文国際・横浜雙葉・アレセイア湘南など
各校の演劇部員が
ダンスや基礎演技、応用演技等各コースに分かれ、柔軟・発声・台本読み…、と、
一日、Tシャツが絞れるほど、気持ちの良い汗を流しました。

演劇部は「舞台」という「ライブのドラマ」を創る部活ですが
([E:heart02]お知らせしたとおり12/28にも中学生の公演があります[E:heart02])、
数ヶ月毎にプロの方や他校と交流を持ちます。
いわば、教養講座も行う部活動なのです。
[E:shine]在校生・来年の新入生の皆さん(*^_^*)[E:shine]
浅野には実に様々な活躍の場所があるのです。

投稿日時: 2015年12月21日 09:07 | カテゴリ: 生徒会・部活動 |

演劇部・冬の公演

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演劇部・劇団こぎと です。

みなさん、いかがお過ごしですか。
暮れも押し迫った12月28日(月)10時30分?
私たちは、冬の横浜市大会に於いて、今年最後の公演を行います[E:heart04]


場所  テアトルフォンテ(いずみ野線いずみ中央駅下車すぐ)
時間  12/28(月)開場9:30、
 開演1校目(市立保土ヶ谷中9:40?10:20)、
 開演2校目(浅野中学 10:30?11:10)…

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入場無料です。
どうか、素敵な年末を[E:note]

投稿日時: 2015年12月21日 09:07 | カテゴリ: 生徒会・部活動 |

指名委員会発足

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12月5日(土)開催の常任委員会におきまして、保護者9名、教職員2名、合わせて11名の次年度役員候補者指名委員会が発足しました。

Photo親子共々充実した学園生活を送れるように、PTAのよりよい体制を築けるよう検討しております。 (役員)

投稿日時: 2015年12月20日 00:11 | カテゴリ: PTA |

英語ディベートで表彰されました

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先月、事前準備型 英語ディベートの第7回神奈川県大会 兼 全国大会予選が行われ、ディベート同好会の高二・高一の合同チームが2チーム参加しました。

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 今年度の論題は「Japan should contribute more actively to the United Nations Peacekeeping Operations by relaxing its restrictions for the Self-Defense Forces.(日本は,自衛隊の参加制限を緩和し,国際連合の平和維持活動に,より積極的に貢献すべきである。是か、非か。)」というもので、内容とともに高度な英語力が求められる難しい論題でした。 また、この神奈川県大会には、昨年度、全国優勝・世界大会出場の栄光学園をはじめ、強豪校が多数参加しており、非常にレベルの高い大会となりました。  そんな中、浅野Aチームが見事3位を獲得しました。

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また、浅野Bチームも最後の試合に勝てば入賞するチャンスがあったので、両チームとも大健闘でした。ジャッジの方からも「全国レベル」とお褒めの言葉を頂き、これからの成長が楽しみです。 今後も、全国大会優勝・世界大会優勝を目指して頑張って参ります。 関係者のみなさま、応援して下さった方々、本当にありがとうございました。 文責: ディベート同好会顧問

投稿日時: 2015年12月19日 23:01 | カテゴリ: 生徒会・部活動 |

教養講座「ハリー・ポッターの世界史」

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 2015年12月11日と14日の放課後、中1から高2までの希望者を対象として、「ハリー・ポッターの世界史」というタイトルで、ハリー・ポッター作品を題材にして「世界史」にふれたり、様々なイギリス文化を追体験するという教養講座を実施しました。以下では、7つに分けたテーマの内容や生徒の感想・意見などをまとめます。作品の内容に踏み込んでいますので、未読の方はご注意ください。


(1)キリスト教
 聖書には、魔術を使う者を神が憎む、つまり魔術は悪だといった内容が書いてあります。したがって、本作が反キリスト教的だと主張する人がいます。確かに、原理主義的にはそうかもしれません。他方、本作を聖書の寓話として読み解くこともできます。そこで、ヴォルデモート(主人公ハリーが対決する闇の魔法使い)とハリーを比較しつつ、そうした考察を行いました。
 たとえば、ヴォルデモートには「蛇」のイメージがつきまといます。聖書では、蛇はエバをそそのかして人類の原罪のきっかけを作った存在であり(『旧約聖書』「創世記」)、また悪魔の代名詞たるサタンと同一視されます(『新約聖書』「ヨハネの黙示録」)。対して、ハリーのイメージはイエス・キリスト的です。彼は、予言によって殺されかかり、自己犠牲の精神で死に向かい、しかしそこから復活したからです。
 また、ヴォルデモートは真の愛なくして生まれ、愛を理解しませんが、ハリーは母リリーの愛によって救われました。こうした自己犠牲や愛こそがキリスト教思想の根幹である、というロジックから、ヴォルデモートの側を反キリスト教的、ハリーの側をキリスト教的と対置して読み解きました。ちなみにlily=百合(とくに白百合)は純潔を表し、聖母マリアの象徴でもあります。
 ヴォルデモートの反キリスト教的なイメージを助長するのが「分霊箱」です。これは殺人をおかすことで「魂」を分割して保管する闇の魔術で、死すべき存在である人間が不死を得ようとした傲慢な試みでした。キリスト教的には、神が定めた自然の理を壊すとともに、霊魂の救済を自ら不可能にしてしまう愚かな行為だとみなせます。しかし分霊箱を全て破壊されたヴォルデモートは、最後にハリーから「悔い改め」による救済のチャンス(これが非常にキリスト教的。神は悔い改める者を拒まないからです)を与えられながらも拒否し、滅びの道を歩んだのでした。
 実はこのテーマが生徒にとっては最も面白かったようで、「聖書(キリスト教)についてもっと知りたい」という意見もありました。本校はキリスト教の学校ではないので、実際に聖書を使いながら解釈するという作業が新鮮だったのでしょう。こうした手法は、『ナルニア国物語』など他の作品でも応用できることでしょう。

(2)錬金術
 不死をめざすことが反キリスト教的行為であるならば、第1巻のキーアイテムとなる「賢者の石」はどうなのでしょうか。まず、荒川弘『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)なども参考にしながら、錬金術について考えました。錬金術は、魔法界ならずとも、つまりマグル界(マグルは非魔法族のこと)でも実際に存在する学問で、通常の世界史の授業にも登場します。錬金術をめぐるアジア・イスラーム世界・ヨーロッパ世界の文化交流が重要です。
 それから、ハリーが通うホグワーツ魔法魔術学校のダンブルドア校長の共同研究者とされた人物がニコラス・フラメルです。本作のフラメルがヴォルデモートと異なる点は、賢者の石を悪用しようとはせず、最後にこれを破壊し、自然の理にしたがって死を迎え入れたことでした。とはいえ、実在の人物であるフラメルとは何者なのでしょうか。14世紀から15世紀頃の時代背景を念頭におきつつ、フラメルの真実を追いました。

(3)パブリック・スクール
 魔法使い・魔女の学校であるホグワーツにはモデルがあります。それは、イギリス(この場合はイングランドとウェールズ)のパブリック・スクールと呼ばれる名門私立学校で、イートン校、ハロウ校などが有名です。イートン校については本作でも言及されます。まず、浅野、イートン、ホグワーツを比較しながら、パブリック・スクールとホグワーツの関連性を考察しました。前2者はマグル界の男子校ということで共通しています(うまく隠しているだけで、魔法を使える人がいる可能性はありますが)。
 他方、浅野が通学制の学校であるのに対して、イートンやホグワーツは寄宿制(全寮制)学校です。そのことを前提にして、伝統的パブリック・スクールとホグワーツを比較してみると、色々な共通点があることに気がつきます。まず、寄宿制にともなう寮監、監督生などのシステムです。魔法界の資格試験にも、マグル界におけるモデルが存在します。イギリスには日本的な部活動はありませんが、自主的な課外活動としてのスポーツは盛んで、寮ごとにチームを組んで対抗する点も似ています。
 パブリック・スクールでは、伝統的にラグビーなど団体スポーツが奨励されてきました。それによって、ハリーがクィディッチ(という魔法界のスポーツ)を通じてグリフィンドール寮に抱いたような忠誠心を養おうというわけです。さらに、イートン対ハロウのような学校対抗試合では、愛寮心を超えた愛校心が燃え上がります。忠誠心は、このように寮→学校→国家→そして帝国全体へと広がりました。ノブレス・オブリージュの精神を掲げて国に奉仕する紳士を育成することが、パブリック・スクールの役割だったのです。パブリック・スクールと見なされる学校が増加したのは、工業化を前提とした19世紀のイギリス帝国隆盛の時代でした。なぜ通学制ではなく「寄宿制」なのか、またなぜ「19世紀」なのか、という疑問に対しては、その時代背景から答えることができます。
 それから、ロンドンのキングズ・クロス駅から出発するホグワーツ特急の車窓からみえるであろう風景も、映像でみてもらいました。さらに、映画のロケ地を紹介しながら、スコットランドにあるとされるホグワーツの場所を推定する、という分析もしました。ホグワーツ特急は、日本でみかけるような電車ではなく、蒸気機関車なのですが、「保存鉄道」といって、マグル界のイギリスでもあのような蒸気機関車が各地を走っています。これは、技術が発達してもなお、古き良き伝統を守ろうとするイギリスらしさが現れた例の一つです。『きかんしゃトーマス』が生まれた背景でもありますね。
 本テーマは、キリスト教の話についで人気でした。生徒からは「大学生になったら、イギリスに留学してみたい」、「イートン校の生徒と自分たちの学校生活の違いに驚いた」といった反応がありました。学校文化の違いという点では、オックスフォード大学やケンブリッジ大学が、日本の大学とどう異なるか調べてみるのも面白いでしょう。

(4)イギリス帝国(大英帝国)
 先にふれたとおり、本作にはイギリス帝国的な背景があります。その一つが、ホグワーツの人種的多様性です。ホグワーツには、インド系・中国系、そして数多くの黒人の生徒がいますが、みなが「英語」を話します。これはやはり、イギリス帝国によるグローバリゼーションの結果に他なりません。インドの植民地化や、アフリカ分割といった帝国主義の歴史を知ることで、国際語としての英語を新しい視点でとらえることができるはずだと思います。

(5)ヴォルデモートとヒトラー
 ヴォルデモートのマグル迫害と、ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーのユダヤ人迫害を対比しました。このテーマに関しては、N. Reagin (ed.), Harry Potter and History, (New York: Wiley, 2011)という論文集におけるReagin,“Was Voldemort a Nazi? Death Eater Ideology and National Socialism” を参考にしました。
 両者のイデオロギーの根底にある「純血主義」とそれにもとづく政策には多くの共通点がみられます。たとえば、魔法界の政府に相当する魔法省が、マグル出身の魔法使い・魔女を差別するために「登録」する政策を推進したことは、ナチスによるユダヤ人の「登録」政策を彷彿とさせます。これについては、映画『アンネ・フランク』(ロバート・ドーンヘルム監督、米、2001年)を用いて紹介しました。
 また、純血主義的な教育改革を進めたことも共通しています。なぜそのようなことが可能かというと、両者ともに政府を用い、人々から一定の支持を得たためです。本作では、闇の魔法使いヴォルデモートの悪さばかりが取りざたされますが、実際には純血主義の背景にある差別や偏見こそが一番の問題なのです。だから、ヴォルデモートが滅びても、魔法界の社会問題は残存しました。その解決に奔走したのが、ハリーの友人でマグル生まれの魔女ハーマイオニーです。では、ヒトラー後のマグル界はどうでしょうか。

(6)イギリスの階級社会と貴族
 本作で純血主義者として登場する代表的な人物がルシウス・マルフォイです(ハリーのライバルとして登場するスリザリン寮のドラコの父)。このテーマでは、マグル界の貴族(上流階級)とマルフォイ家の暮らしぶりを比較しながら、マルフォイ家が魔法界の貴族であるという分析を行いました。このテーマに関しては、前述した論文集におけるLaura Loiacono and Grace Loiacono,“Were the Malfoys Aristocrats? The Decline and Fall of the Pure-Blooded”を参考にしました。
 さて、真の上流階級とみなされるには、単に金があるだけではだめで、広大な領地と豪華な館を持ち、使用人を雇い、高い社会的地位を保持する必要があります。実際、ルシウスはこれら全てを満たした人物で、純血主義者としてマグルを差別する一方、病院などに多額の寄付をして社会的地位を上げたり、魔法大臣にも影響を与えるほどのコネクションを持っていました。
 資料としては、マグル界の貴族の館の写真や、使用人の仕事の様子を提示しました。映画『ゴスフォード・パーク』(ロバート・ アルトマン監督、2001年、英)など、イギリス貴族の生活を描いた作品にも執事・メイド・コックなど、多くの使用人が登場しますが、魔法界の上流階級に奉仕しているのは「屋敷しもべ妖精」です。すると、マグル界と魔法界の比較から、しもベ妖精は何役もこなした働き者であることが分かるわけです。
 ちなみに、お金に関しては本作の関連書籍に魔法界の通貨とマグル界のイギリスの通貨が換算された形で併記されており、そこから魔法界の物価を計算することができます。ハリーの杖7ガリオンは、日本円でいくらぐらいなのか、生徒に計算してもらいました。魔法界の諸物価を計算しながら本作を再読すると、また違った視点でみることができる楽しさがあります。

(7)イギリス料理・菓子
 本作で、フラーというフランス人女性が、イギリス人は肉を焼きすぎだと指摘する場面があるのですが、一般的に「イギリス料理」には「まずい」という定評があるようです。ところが、本作に登場する料理や菓子をみていると、(ハリーをいじめたマグルのダーズリー家が彼に供した食事は別として)まずいとはとても思えません。そこでこのテーマでは、料理や食の歴史についての本を参考にしながら、「おいしいイギリス料理」の話をしました。
 まず、ハリーがホグワーツに始めてやって来た日の夕食を分析しました。目玉はグレイビーソースをかけて食べる「ローストビーフ」ですが、イギリス料理における事実上の主食はじゃがいもです。じゃがいもは南米原産で、「大航海時代」が他地域にもたらした産物です。トマトなどとともに、世界史上のグローバリゼーションを象徴する食品だといえます。ちなみにトマトは、本作でも「焼きトマト」としてイギリス流の「朝食」に登場しています。また「トライフル」、「クランペット」などの聞きなれない食べ物の解説も行いました。
 甘いもの好きなイギリス人にとってトライフルも人気のデザートですが、やはり多くのイギリス人は「チョコレート」が好きです。本作でも描かれているとおり、フルコース後のチョコレートケーキは別腹なのです。しかし、ふとチョコレートの原料であるカカオ豆の生産国に思いを馳せると、そこにはイギリス帝国の歴史や独立後も残存するモノカルチャー経済の問題が横たわっていることに気づきます。
 それから「サンドイッチ」。本作でも、ハリーの友人であるロンの母モリーが作ったサンドイッチが登場します。サンドイッチは、魔法界でも忙しい主婦の味方のようです。サンドイッチの歴史としては、「イギリスのサンドイッチ伯爵が発明した」という伝説が有名ですが、その真相についても迫りました。
 料理・菓子は、本作におけるクリスマスも彩っています。たとえば、クランベリーソースをかけて食べる七面鳥や「クリスマス・プディング」などが登場します。これは、日本人が一般に思い浮かべるプリンとは全く別物です。生徒には、このプディングとキリスト教に関係した歴史をもつ「ミンスパイ」という菓子を試食してもらいました(『ブリジット・ジョーンズの日記』で、ブリジットがクリスマスにやけ食いしたのもミンスパイです)。ともに、シナモン、ナツメグなど香辛料が使用されているのが特徴的です。食べた生徒の感想ですが、クリスマス・プディングの方は「カレーのような香辛料のにおいがした」、「初め、カレーみたいな味がした。噛むと甘くておいしい」といったもので、ミンスパイの方は「それにクッキーのような味を足した感じ」とのことでした。すべてのクリスマス・プディングがカレーのようなにおいがするわけではないのですが、香辛料からカレーを連想したのでしょう。香辛料が香辛料たるゆえんを、身をもって体験できたようです。写真は、このプディングを食べている様子なのですが、においが独特なので、恐る恐る口に入れているようです。
 そして「フィッシュ・アンド・チップス」。ファストフードの先駆けといえる料理ですが、なぜ「アンド」になったのか、つまりフライドフィッシュ(タラやカレイなど)とチップス(いわゆるポテトチップスではなく、日本のフライドポテトに相当)を一緒に食べるようになったのでしょうか。ここにも実は、鉄道の発達など19世紀に生じた技術革新が背景にありました。
 こうした食文化の観点から考えると、ハリー・ポッター作品は純粋にイギリス的だと分かります。逆に言うと「イギリス料理」に飽きたなどといって、屋敷しもべ妖精にパスタや中華料理を作れと命じるような人は登場しないのです。

(8)最後に
 講座終了後に生徒に書いてもらったアンケートをもう少し紹介します。本作に登場する名前の由来について調べてみたい、呪文の起源や現実にある言語とのつながりを知りたい、生物の由来を知りたい、映画のロケ地を見てみたいといった意見がありました。名前については、ラテン語やさまざまな神話と関係があります。また、ドラゴン、ユニコーン、ヒッポグリフといった伝説上の生物についても、調べてみると意外な発見があることでしょう。そうした知的好奇心を忘れないでほしいと思います。
 以上のように、ハリー・ポッター作品は「世界史」を学ぶ入口にもなるし、イギリス文化を知る、ひいては異国文化を追体験するための切り口として、格好の題材となります。そしてまた、異国文化を知ることは、翻って自国文化を顧みるよいきっかけになることでしょう。世界史もまた、こうした多様性に気づくための手段となりえます。
 改めて、今回参加してくれた生徒のみなさん、ありがとうございました。この講座は、一回受講して終わり、ではありません。次にハリー・ポッター作品にふれた時に、この講座の本当の意義が分かります。スネイプ先生の真実を知った後、また最初から読みなおしたくなった人は多いはずですが、次もきっと新しい「発見」があるはずです。担当者は世界史の教員なので、歴史に落とし込む読み解き方を提示しましたが、それぞれが自由に読み解いて楽しめばいいのです。誰かに自分の読み解き方を教えたいという生徒も大歓迎です。
それでは、またの機会に。(Until then, mischief managed.)
(文責:教養講座担当)

投稿日時: 2015年12月17日 19:36 | カテゴリ: 学校からのお知らせ |

神奈川県私立中学校柔道大会結果報告

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 2015年12月13日(日)、本校の柔道場で神奈川県私立中学校柔道大会が開催され、中1・中2の柔道部員が出場しました。個人戦中1の部では、寺田陽貴君が3位、宮城聖昌君がベスト8、中2の部では、成田雷賢君、前田龍希君、北村和也君がそれぞれベスト8という結果でした。

 他校との試合を通じて、良い刺激が得られたと思います。お忙しい中、応援に来てくださった保護者の皆様、ありがとうございました。今後も日々精進してまいります。

(文責:柔道部顧問)

投稿日時: 2015年12月17日 18:58 | カテゴリ: 生徒会・部活動 |